ボイジャー (Voyager)
月、惑星、太陽、小惑星、彗星といった太陽系の諸天体の科学探査を目的として、 人類がこれまでに打ち上げを行った宇宙探査機は無数にあります。ここでその すべてを紹介することはとてもできそうにありませんが、そのうちのいくつかを ご紹介します。ここで紹介されていない宇宙探査機やさらに詳しく調べたい方は、 このページの最後の方にある『宇宙探査機についてもっと 詳しく知りたいとき』の項目をご覧下さい。ここで紹介されている内容は、 おもに USENET のニュースグループである sci.space の FAQ(質問と回答集)から引用しました。
(もっと詳しく知りたい人は、NASA:米国航空宇宙局から提供されている マリナー2号のホームページ(英語)をご覧ください。)
パイオニア10号と11号に搭載された発電気の電力は次第に低下してきている ものの、どちらの探査機もまだ正常に機能し続けており、探査機から送信さ れる電波はいまだに地上で受信されています。ただし、パイオニア11号 は、搭載されたどの科学観測機器を動作させるにも十分な電力を発生させること ができなくなりました。そのため、今後は定常的な運用は行われないでしょう。 しかし、低電力の状況下での電子機器の性能を調べるため、定期的に 技術的なデータは取得されることになっています。パイオニア10号は 現在でも貴重な科学データを取得し続けています。
太陽系の外へと向かうはじめての探査機として、パイオニア10号と11号には 金でメッキされた縦 15.2 cm 横 22.9 cm の大きさのアルミニウムの 銘板が 機体にボルトで取り付けられており、そこには地球外知的生命体に遭遇した 場合を想定して人類からのメッセージが刻まれています。
(さらに詳しい説明(英語)は パイオニア計画のホームページと米国航空宇宙局(NASA)スペースリンクの パイオニア10号、 パイオニア11号のホームページ、および米国航空宇宙局(NASA) エイムズ研究センターから提供されている パイオニア計画の現在の状況 の各ページをご覧ください。)
(さらに詳しい説明(英語)はジェット推進研究所から提供されている マリナー10号のホームページをご覧ください。)
(詳しくは米国航空宇宙局(NASA)スペースリンクの 情報やカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の パイオニア・ビーナスについての解説をご覧ください。)
バイキング1号の着陸船からの信号は1982年11月11日を最後に途絶えてしまい ました。その後、6ヵ月半にわたってバイキング1号の着陸船との交信を再開 させる試みが続けられましたが、1983年5月21日に計画は正式に終了となりました。
バイキング1号の着陸船は、その後着陸船画像処理チームのリーダーとしての功績 をたたえてトーマス・A・マッチ (Thomas A. Mutch) 記念観測所と名づけられ ました。観測所の名前を示す銘板は、将来の有人火星探査のときに着陸船に 取り付けられることになっており、それまでの間は米国ワシントンDCの 国立航空宇宙博物館に大切に保存されています。
(詳しくは米国航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の 情報や WWW の バイキング計画のホームページをご覧ください。)
ボイジャーの2つの探査機により、4つの巨大惑星(木星・土星・天王星・ 海王星)とその衛星や環に関する私たちの知識は飛躍的に深くなりました。 まず、木星の大気の複雑な運動の様子が明らかになり、雷や オーロラも確認されました。また、木星に 3つの衛星が新しく発見されました。さらに、木星に環があることが発見された ことと、木星の衛星イオに硫黄を成分に含む活火山の活動が確認されたことは 世界中の人々を驚かせました。イオの火山活動は木星の磁気圏の状態にも 深く影響を与えていることもわかりました。
土星への接近のときには、土星の環が1000本を超える細い帯状の環から なっていることと、7つのそれまで知られていなかった衛星が新たに 発見されました。そのうちのいくつかの衛星は土星の環を重力的に安定 な状態に保つためにボイジャーが土星に接近する前から存在が予測されて いた衛星で、そのような衛星は『シェパード衛星(羊飼い衛星)』と 呼ばれます。土星の大気の動きは木星に比べるとおとなしく、巨大な ジェット気流が乱れることなく流れています。33年の周期で大白斑と 白い帯が交互に現われる現象が知られています。土星の衛星 ティタンの大気は透明度が低くよどんで いました。また、別の衛星ミマスには隕石 の衝突でできた大きなクレーターがひとつあり、映画『スターウォーズ』 に出てくるデススターにそっくりです。土星の環に発見された不思議な 構造‥2本の環がからまりあっていたり、環がねじれていたり、土星の 中心から放射状に濃淡の模様が見られたり‥はいまだにどのようにして 形成されたのか明確な説明が与えられていません。
天王星とは対照的に、海王星の大気の運動は活発で、無数の雲の形も はっきりと確認されました。ボイジャー2号が観測を行うまでは、海王星 には断続的に途切れ途切れの環があるのではないかとされていましたが、 じつはこれは1本につながった完全な環で、ところどころが斑点状に太く なっているのだということがわかりました。また、新たに2本の環と6個 の衛星が発見されました。海王星の磁気軸もまた傾いていました。海王星 の衛星トリトンの表面にはマスクメロンの ような模様と液体の噴出する間欠泉のような地形が発見されました。 (絶対温度38度の世界で液体でありえる物質とはいったい何でしょう?)
もし今後もボイジャーが順調に飛行を続ければ、2つの探査機との交信 は2030年ころまでは十分続けることができそうです。燃料である ヒドラジンはまだ十分に残っています‥ボイジャー1号は2040年まで、 ボイジャー2号は2034年まで姿勢を制御することが可能です。ただ、 ボイジャーがいつまで観測を続けることができるかはRTG (RTG : Radio-isotope Thermalelectric Generator ‥ 放射性同位 元素から発生する熱を利用した発電機)と呼ばれる発電機の出力が いつまでもつかにかかっています。2000年までにはUVS(UVS : Ultra-Violet Spectrometer ‥ 紫外線分光装置)が必要とする電力は 供給できなくなり、2010年までにはすべてのセンサーの電源を同時に 入れておくことができなくなります。そのときには、搭載されている センサーのうちのいくつかの電源を切ったり入れたりして時間を 区切って観測を行うようになります。このようにして10年間程度は 観測を継続することはできますが、その後は電力が不足して探査機を 正常に機能させることはできなくなるでしょう。
(さらに詳しく知りたい方は、米国国立宇宙科学データセンターの 素晴しい ホームページ、ジェット推進研究所から提供されている 資料と ホームページ、エイムズ研究センターから提供されている 総合的な情報をご覧ください(英語)。)
1990年4月、ジオットの観測装置にふただび電源が投入されました。 10個の観測装置のうち、3つは正常に機能していること、4つの観測 装置は一部に障害があるものの使用が可能であること、そしてカメラを 含む残りの3つの観測装置は使用できないことが確認されました。 1990年7月2日、地球に接近し、軌道を変えて7月10日 グリッグ−スキエレラップ彗星に接近して観測に成功しました。
(もっと詳しく知りたい人は、米国宇宙科学データセンターの ホームページ(英語)をご覧ください。)
(さらに詳しく知りたい人は米国地質調査所(USGS)から提供されている ホームページと米国航空宇宙局(NASA)の惑星データサービスの ホームページ(英語)をご覧ください。)
(もっと詳しく知りたい人は、ジェット推進研究所から提供されている 資料、 ホームページ ともうひとつの ホームページ、 米国航空宇宙局(NASA)の惑星データサービスの マジェランのホームページ、米国宇宙化学データセンターからの 資料 (英語)をご覧ください。)
ボイジャー1号と2号は紫外線分光装置を用いて太陽圏の分光観測 を行い、太陽系外からやってくる星間ガス流を詳しく調べています。 また、宇宙線検出器は太陽圏の外縁部における星間宇宙線のエネルギー スペクトルを観測しています。
いまの飛行速度から計算すると、地球からボイジャー1号までの距離は 1998年1月にパイオニア1号までの距離を抜いて最も遠い人造体となります。
(もっと詳しく知りたい人は、ジェット推進研究所から提供されている 資料 (英語)をご覧ください。)
1994年12月1日現在、地球からボイジャー1号までの距離は87億km、 時速61200kmで飛行しています。同じくボイジャー2号までの距離は 67億km、時速57600kmで飛行しています。
ガリレオは木星に向かう途中で、これまで2つの小惑星 951 ガスプラと 243 アイーダの接近写真を地球に送ってきました。 また、シューメーカー−レビー第9彗星の木星への衝突の映像も良い 場所で撮影して送ってきました。
打ち上げが行われたあと、展開式の高利得アンテナの展開に失敗し、 その後アンテナの展開のための試みが繰り返されましたが、ほぼその 望みは絶たれました。実際に現在ガリレオと地上の間の交信に使用されて いる低利得アンテナでは1秒に10ビットの情報しか送受信することが できません。ジェット推進研究所は、通信できる情報量を可能な 限り増やすため、深宇宙ネットワークの受信アンテナの感度を向上 させたりデータの圧縮化技術(画像情報に関してはJPEGに似たデータ 圧縮フォーマットを使用し、その他の観測機器の観測データに関しては 可逆圧縮を行います。)を開発しました。この結果、高利得アンテナが 使用できないとしても、当初予定された観測対象のうち70%の観測を完了 して地上の受信局に観測データを送ることが可能となる見込みとなりました。 ただし、木星大気の運動の長期連続観測のように画像データを多く必要と する観測項目は最も影響を受けてしまいます。
ガリレオのスケジュール ---------------------- 10/18/89 - スペースシャトルからの切り離し 02/09/90 - 金星の近傍通過 10/**/90 - 金星の観測データの送信 12/08/90 - 1回目の地球近傍通過 05/01/91 - 高利得アンテナの展開に失敗 07/91 - 06/92 - 1回目の小惑星帯通過 10/29/91 - 小惑星ガスプラの近傍通過 12/08/92 - 2回目の地球近傍通過 05/93 - 11/93 - 2回目の小惑星帯通過 08/28/93 - 小惑星アイダの近傍通過 07/13/95 - 大気観測船の切り離し 07/20/95 - 軌道船の軌道修正 12/07/95 - 木星とイオに接近;エウロパの近傍通過 07/04/96 10:01 - ガニメデに接近(軌道番号1) 09/06/96 19:01 - ガニメデに接近(軌道番号2) 11/04/96 13:30 - カリストに接近(軌道番号3) 11/06/96 18:42 - エウロパに接近(軌道番号3A :カリストに接近する軌道中に 偶然 32,000 km まで接近) 12/19/96 06:56 - エウロパに接近(軌道番号4) 01/20/97 01:13 - エウロパに接近(軌道番号5A :太陽と木星の方向が一致する 時期に距離 27,400 km まで接近−観測は行わ ないが、軌道情報はエウロパの重力場の決定 に利用される) 02/20/97 17:03 - エウロパに接近(軌道番号6) 04/04/97 06:00 - エウロパに接近(軌道番号7A :ガニメデに接近する軌道中に 偶然 23,200 km まで接近) 04/05/97 07:11 - ガニメデに接近(軌道番号7) 05/06/97 12:12 - カリストに接近(軌道番号8A :ガニメデに接近する軌道中に 偶然 33,500 km まで接近) 05/07/97 15:57 - ガニメデに接近(軌道番号8) 06/25/97 13:48 - カリストに接近(軌道番号9) 06/26/97 17:20 - ガニメデに接近(軌道番号9A :カリストに接近する軌道中に 偶然 80,000 km まで接近) 09/17/97 00:21 - カリストに接近(軌道番号10) 11/06/97 21:47 - エウロパに接近(軌道番号11) (さらに詳しく知りたい人はこちらの詳細をご覧ください。)1997年6月26日のカリストへの接近と9月17日の接近の間には、ガリレオの 軌道船は太陽の反対側に伸びている木星の磁気圏も通過して観測を行います。 また、木星の環の写真や木星の小さな衛星の写真も撮影します。
ガリレオ4大衛星への最接近距離(比較のためにボイジャーが木星に接近した ときの距離も示します)
ボイジャー ガリレオ(計画接近) ガリレオ(計画外接近) イオ 20,570 km 1,000 km -- エウロパ 205,720 588 23,200 ガニメデ 62,130 255 80,000 カリスト 126,400 416 33,500ガリレオのカメラは50000kmの距離から撮影すると分解能が約1kmになります。 したがって、計画外接近(対象となる衛星に接近することが目的でない軌道からの 接近)の場合や計画接近の際の最接近の前後では、衛星全体をおおきくカバーする 視野で500mから2kmの分解能の撮影が可能です。また、計画接近の最接近時 には、中解像度(分解能200m)から高解像度(分解能80m)の画像が10枚から 数百枚程度撮影されます。 ガリレオは『近木点』(木星を周回する楕円軌道上でもっとも木星に接近する 地点)を1995年12月7日にはじめて通過するとき、木星大気中の雲の上 約214000kmの距離を通過します。 磁気テープデータレコーダに関するトラブルのため、最初に木星を周回する 軌道では、イオとエウロパの画像は地上に送信されないことになりました。 そのかわり、イオに接近する軌道が新たにミッションの最後に追加される かもしれません。
(もっと詳しく知りたい人は、米国航空宇宙局(NASA)の 惑星データサービスの ガリレオのページとジェット推進研究所の ガリレオのホームページと ガリレオに関する資料、 ニュースレター、 もう一つの ガリレオのホームページ、それと米国国立宇宙科学データセンターの ガリレオ のホームページをご覧ください。)
ハッブル望遠鏡の名前はアメリカの天文学者 エドウィンハッブル (Edwin Hubble) にちなんで名づけられたものです。
ハッブル望遠鏡に関するもっと詳しい説明やハッブル望遠鏡が撮影した 画像の数々はスペース テレスコープ科学研究所から公開されています。ハッブル望遠鏡で 撮影された最新の画像 は定期的に更新されています。 ( ハッブル望遠鏡プロジェクトの簡単な歴史(英語)もあります。 また、ジェット推進研究所にも ハッブル望遠鏡のホームページがあります。)
(ジェット推進研究所にある ユリシーズのホームページとESA(欧州宇宙機構)にある ホームページ、ジェット推進研究所からの 資料や 情報(英語)もご覧ください。)
ウィンドの目指す主な科学的成果は、太陽風のエネルギーと運動量を 計測することにあります。太陽風は地球の周囲の宇宙空間環境に影響 を及ぼしています。これまでにもいくつかの観測ミッションで太陽風 の観測は行われてきましたが、太陽風の流れの変化に対して地球の 大気がどのように反応するのかを正確に理解するためには、ウィンド のように大量の観測データを宇宙空間のいろいろな地点で収集する ことが不可欠です。
ウィンドの打ち上げは、ロシアの観測装置がアメリカの探査機に搭載 される史上初めてのケースになります。ロシアのイオフェ研究所で 開発されたコヌスガンマ線分光計はウィンドに搭載される2つの 観測装置のうちの1つで、太陽風の観測ではなくガンマ線バースト の観測を行います。
打ち上げ後、まずウィンドは地球と月の重力を利用して8の字型の 軌道に投入されます。地球から最も遠く離れる地点までの距離は 160万km、最も近づくときの距離は29000km以上になります。
その後、ウィンドは軌道修正を行って地球からの距離を150万km から169万kmの間に保ちながら常に太陽と地球の内側に位置する ことのできる特殊な軌道に投入される予定です。
訳註:ウィンドは1994年11月1日に打ち上げられました。派遣計画に ついての詳しい解説がNASAゴダード宇宙飛行センターの ホームページにあります(英語)。
計画の初期の段階では、ガリレオが アイーダとガスプラ に対して行って大成功を修めたのと同じように小惑星への接近も行う 計画でしたが、費用を節約するために断念されました。
ティタンのもっとも興味深い点の一つは、 ティタンの表面が上層大気で起こる光化学反応の結果生じる炭化水素 の湖が形成されていると予測されていることです。大気中で生成された 炭化水素は濃度を増していくとスモッグ層を形成し、ついには雨と なって地表に降り注ぐと考えられます。カッシーニの軌道船に 搭載されるレーダーによって、ティタンの厚い雲を通して地表に 液体が存在するかどうかが調べられます。また、軌道船とホイヘンスの 両方でこの特殊な大気が形成される化学反応過程が調べられます。
カッシーニ・ミッションの主なスケジュール(金星-金星-地球-木星ルート) ------------------------------------------------------------- 10/06/97 - タイタン4型/ケンタウルスロケットによる打ち上げ 04/21/98 - 金星重力による加速1回目 06/20/99 - 金星重力による加速2回目 08/16/99 - 地球重力による加速 12/30/00 - 木星重力による加速 06/25/04 - 土星到着 11/06/04 - ホイヘンスの切り離し 11/27/04 - ホイヘンスのタイタン大気突入 06/25/08 - ミッションの終了
(もっと詳しく知りたい人はジェット推進研究所の カッシーニホームページ、NASA惑星データシステムの カッシーニホームページ、ジェット推進研究所の 資料、 NASA(米国航空宇宙局)スペースリンクの 資料とホイヘンスのドップラーウィンド実験に関する 説明(英語)を ご覧ください。)
マーズグローバルサーベイヤーは火星の極軌道をとり、全球を カバーする地形図を作成し、また鉱物の分布を調べたり火星の 気象を観測するよう設計されています。
1996年11月に米国フロリダ州のケープカナベラルからデルタ2型 ロケットで打ち上げられ、それから10ヵ月かかって火星に到達 (1997年9月)します。火星に到達後はまず火星を周回する 楕円軌道に投入され、燃料の噴射と大気ブレーキングを併用して ほぼ完全な極円軌道にのせられます。大気ブレーキングは マゼランで初めて試みられた技術で、 大気の摩擦力によって探査機の速度を減少させて最終的な軌道に 軌道修正するという方法です。燃料噴射を行わないで火星を 周回する低高度軌道に探査機を投入することが可能で、 ミッションに必要な燃料の量を大幅に節減することができます。 地形図の作成の1998年1月終わりころから開始されるという スケジュールが組まれています。
この探査機は火星の回りを2時間で一周する太陽同期軌道− すなわち太陽を常に地平線の方向に保つ軌道を回ります。 このようにすることで、探査機の直下の地点には太陽光線が 地平線方向から射すことになり、影によって高低の地形がたやすく 判読できるようになります。探査機にはマーズ オブザーバの観測装置が 一部そのまま搭載され、火星の公転 周期(約2年)に相当する期間火星の観測データを取得します。 そして、探査機はそのままデータ中継局として役割を変え、 その後3年間にわたって米国をはじめ各国の着陸船や低高度軌道 の軌道船からの観測データを地上にリレーするようになります。
国際的な計画への参加・協力・調整によりこの計画のすべての ミッションはより強力なものとなるでしょう。マーズグローバル サーベイヤー計画に続く1998年、2001年、2003年、2005年打ち上げ の着陸船は、1996年に打ち上げられる マーズパスファインダーの経験が大いに活かされることでしょう。 1998年と2003年に打ち上げが 行われる小型の軌道観測船には マーズオブザーバに搭載されていたのと同じ観測機器が一部搭載され、 将来のミッションではデータ中継局としての役割を果たすことに なっています。
マーズグローバルサーベイヤーの競争入札によって業者が選定 されて調達されます。科学観測機器は、マーズオブザーバ搭載の 観測機器の複製として制作された装置が政府から業者に供給され、 探査機に組み込まれます。組み込まれる観測機器には、カメラ、 熱放射分光計、超高安定発振器、レーザー高度計、磁気計、 電子反射計、データ中継システムといったものがあります。
ジェット推進研究所はNASA(米国航空宇宙局)太陽系探査部門に かわって計画全体を担当し、ミッションの設計、探査機の管制、 ミッションの遂行を指揮します。探査機の管制と探査機からの観測データ の受信には、世界的に展開された深宇宙ネットワークの34mアンテナ群 が行います。
マーズグローバルサーベイヤーの製作から打ち上げ後30日間までに必要 となる経費の総額はおよそ1億5500万ドルと見積もられています。
(ジェット推進所のマーズ グローバルサーベイヤーのホームページもご覧ください(英語)。)
パスファインダーは1億5000万ドルの予算で1994年度にプロジェクトが 開始されました。NASAは低予算で行うことのできる惑星ミッション を計画・実行していくディスカバリー計画をスタートさせましたが、 パスファインダーはその最初のミッションです。
パスファインダーには小型(重さ10kg)の移動式観測車が搭載されて 火星まで運ばれます。NASA(米国航空宇宙局)の先端技術研究室に よって開発が担当されるこの移動式観測車は、火星表面における科学 および技術実験を行う予定です。
パスファインダーは1996年12月2日に打ち上げられ、1997年7月に火星に 到達する予定です。
(もっと詳しく知りたい人は、ジェット推進研究所の ホームページ(英語) をご覧ください。)
冥王星とカロンの地質と地形を調べ、全球にわたる地形図を作成し、 冥王星の大気の様子を調べることが科学的な目標です。冥王星の 大気は冥王星が太陽から遠ざかるにつれて凍りついてなくなって しまうので、冥王星が太陽に最も近づいている現在の好機をとらえて ミッションを早期に実現することが非常に重要です。観測機器の 重量は全体で7kgに制限されますが、そのなかにCCDカメラ、 赤外線分光カメラ、紫外線分光器、それに探査機が冥王星の向こう 側にまわって隠されるときに電波の屈折によって大気の状態を調べる 実験のために必要な機器が搭載機器として提案されています。
プルートエクスプレスの機体はこれまでの外惑星探査に用いられた 探査機に比べるととても小型に設計されています。探査機の 大きさはガリレオ、 カッシーニと次第に巨大化する傾向にありましたが、その流れは 逆の方向に進むことになりそうです。
機体の設計者によるプルートエクスプレス(プルートファースト フライバイ)に関する記事が惑星協会 (The Planetary Society)の発行している隔月刊誌 『The Planetary Report』の1994年9/10月号に掲載されています。
この計画が実際に認められるかどうかは非常に微妙です。
(もっと詳しく知りたい人はNASA(米国航空宇宙局)の ホームページまたはジェット推進研究所の ホームページ(英語) をご覧ください。)
1996年2月にデルタ2型ロケットによって打ち上げられ、1999年 1月はじめに小惑星433 エロスに近い軌道に到達します。 NEARはそこで最低一年間にわたって24kmの距離にまで 近づいて小惑星の岩石を調査します。小惑星エロスは地球に 接近する軌道をもつ小惑星のうちで最も大きい部類に属し、 これまでにも地上からよく観測されています。近地球小惑星と 小惑星帯(火星軌道と木星軌道にはさまれたドーナツ状の軌道帯) に属する大多数の小惑星は性質的によく似ています。
(もっと詳しく知りたい人は米国宇宙科学データセンターの ホームページ(英語)をご覧ください。)
エルメスはジェット推進研究所とTRWの共同ミッションです。 もしこのミッションが採択されれば1999年に打ち上げが行われます。