「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞

2024/11/15

 「税に関する高校生の作文」で3年石川が国税庁長官賞受賞をしました。

題名
優しさの循環-あなたへの手紙-

 私は、先天性心疾患を持って生まれました。二歳の時に手術をし、現在は定期的に検診を受けています。高校生になり「税とは何か」を学ぶと、この病の治療が、どれほど税金に助けて頂いているのかを、知ることになったのです。
 小児慢性特定疾病対策による小児特定疾病児童等への医療費助成。十六種の対象疾患を持った十八歳未満の児童が対象の制度です。私は手術時に対象になり助成を受けました。この社会保障制度は、全て税金で賄われています。そうです。今、私が元気に生きているのは、税金の助けがあったからです。
 幼い頃から、母に何度も言われてきた言葉があります。
 「あなたは、たくさんの方々に支えて頂いている。『ありがとう』を忘れないで。」
 今までは、治療してくださる医師や看護師の方々、家族や先生方、友人たちに、感謝の心を……と、受け止めていました。しかし、この言葉には、もうひとつの意味がありました。それは、出会ったことのない納税者の方々への感謝の心です。「たくさんの方々」という表現も、しっくりきます。母に、答え合わせをしてもらいました。
 「正解。今、その答えに辿り着けたのも、助けて頂いて、成長・勉強出来たからだね。」
 と、そっと笑いました。顔の見える方々だけではない。顔の見えない方々からも紡いで頂いた命。繋がり。心が暖かくなります。
 「税金」や「義務」という響きは、硬い表現で身構えてしまうものがあります。ですが、税金が苦しむ誰かの助けになっていると考えると、柔らかく受け取れます。例えば、目の前で困っている方がいれば、手を差し伸べるでしょう。目に映らなければ、困っていることすら知らないままでしょう。納税することで、私たちの届かない手の代わりを務めてもらうのです。見えない・知らない・届かないを解消してくれる。優しさの循環を興すことが「税金」という制度なのだと思います。
 私は、頂いた恩をどう返せるでしょうか。医療の現場に、看護師として恩返ししたいという夢があります。ですが、これだけでは足りません。出会ったことのない納税者の方々への恩返し。出来ることは、ただひとつ。私自身が、納税の義務をしっかりと果たすことでしょう。私を助けてくれた方々に。大切な方々に。新たに誕生する生命に。巡り巡って誰かの命を紡いでくれるものだから。
 納税者、全ての方々へ手紙を送ります。
 命を紡いでくれたあなたへ
 出会ったことのないあなたへ
 私を助けてくれて、ありがとう。
 今があるのは、
 あなたにお力添えを頂いたおかげです。
 私も将来は、あなたのような
 優しさの循環の一部でありたい。
 更に、次の誰かに命を紡げるように。
 大切なあなたに、心からの感謝を込めて。